【オススメ】頭と心が激しく揺さぶられる映画『5パーセントの奇跡』

ドイツ映画『5パーセントの奇跡』は、私が最近観た映画のなかで最もオススメしたい作品の1つだ。視力が5%までに低下した主人公の人生を体験し、共有させてくれる。自分の人生の糧になると思わせてくれる作品だ。

「産まれたときから視えない」のと「後天的に視力がおちる」のと、どちらがいいだろうか。
不謹慎とわかりながら、映画を観ている間ずっと考えていた。

そもそもいいわるいで片付けられるものではないし、視力のある人間からしか出てこない疑問だろう。

私は思春期から「閃輝暗点」という視覚障害に悩まされてきた。
Wikiには「偏頭痛の予兆」とあるが、私にとっては偏頭痛も含めた症状だ。

人によって症状はまちまちだが、私のはまず太陽を見たあとに起きる小さい残光のようなものが突然視界に現れる。
残光のようなものは視界を覆いつくして水面にうつる陽のように激しく点滅する。
このとき視界はモザイクがかかったような状態で、対象や距離感がつかみづらくなっている。
数十分、長いときには数時間その状態が続き、やがて残光のようなものは視界を占める割合を少なくして消えていく。

入れ替わりのように眼窩、それよりも奥の方から鈍い痛みと倦怠感が昇ってくる。
痛みと倦怠感は目を中心に頭に広がっていく。
ピーク時から数時間先は起きているのがつらい。
ひどいときは閃輝暗点が起きてから1日や数日、尾をひくこともある。

共感はなにも生まない

以前、会社の上司に体調不良の理由を問われ、その答えとして閃輝暗点を説明した。
上司は「ぼくもたまになるよ」と言った。

別に気づかってほしいわけではなかったのだが、非常に不愉快だった。
「つらいよね」というような同調があれば感じ方は違ったと思うが、それでもそれは中身のないクッションだ。

しかし普段から折が合わないこともあり、このときは「知ったような口をきくな。くたばれ」と心のなかで唱えていた。

冒頭に書いた、私が抱いた疑問も似たようなもので、私は上司を反面教師にしてこう言わなければならない。
「お前が知る必要はない」

映画の話

これはドイツの作品で原題は“Mein Blind Date mit dem Leben”。
Google先生によると、「人生とのブラインドデート」。
邦題は『5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~』で、長たらしく寒気のする副題をつけている。

「5つ星ホテルで働きたい!」先天性の病気で95%の視覚を失った青年サリーが夢を叶えるために一世一代の“大芝居”を打つ!なんと目が見えないということを隠して、一流ホテルで見習いを始めるというのだ。持ち前の明るさと機転を利かせ、周囲の助けも借りながら、ホテルの研修課題を次々とクリアしていくサリー。しかし、ラウラとの出会いに...

主人公のサリーは、高校在学中に視力が普通の人の5%にまで落ちてしまう。
しかしホテルマンになる夢が諦めきれず、弱視を隠して面接を受けて合格する。
周りからの助けを得ながらなんとか研修課程を進めていくが、実家や恋人に絡む問題ものしかかってきて身も心も破綻してしまう。

詳細は活字にするのがもったいないので書かない。
久しぶりに「おもしろい!」と思える映画を観た。

サリーの視界や心情を巧みに演出し、本来わかりえない「通常の5%しか視えない世界」を共有してくれる。
鑑賞中、私はサリーとして彼の喜怒哀楽を体感することができた。

サリー役のコスティア・ウルマンの演技は、演技とは思えないほどサリーその人だった。
友人のマックスはチャラいけど、心底いいやつでサリーが羨ましい。
プロット固定の作品ばかりで物足りないなと感じている人にオススメしたい映画だ。

ちなみにひとつ純粋に疑問なんだが、もはや眼鏡やコンタクトじゃ矯正できないレベルなんだろうか。

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