【オススメ】『ショート・ターム』は踏み入れることのできない世界が描かれていた

『ショート・ターム』は私が知らない世界を垣間見せてくれる。深く踏み込んではいけないが、少し理解できた気になってもいいような気にさせてくれる、そんな映画だ。

経験のないことは想像で補う必要があるが、時としてその必要がない場合もある。

ショート・ターム』は保護施設を舞台にした映画だ。
原題は“Short Term 12”。

物語の舞台は、ティーンエイジャーをケアするシェルター“ショート・ターム”。ここで働く20代のケアマネージャー、グレイス(ブリー・ラーソン)と、同僚でボーイフレンドのメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr.)。子供が出来たことをきっかけに、2人の将来はささやかながら、幸せなものになるかと思われたが……。たったひとりの信頼でき...

私は保護施設とも、虐待とも無縁に生きてきた。
保護施設にいる子どもたちは全員が虐待を経験しているわけではないが、映画では虐待に寄ってフォーカスしている。

鑑賞中、私はずっと傍観する部外者だった。
経験のない私がただの『物語』として観るには気が引けたし、だからと言って取り上げている問題自体に言及するのはおこがましいと感じた。

作品としては楽しめた

幼いころから母親に虐待されている施設を出ていく予定のマーカス。
脱走を繰り返す自閉症のサミー。
父親から虐待を受けている新しく施設に来たジェイデン。

映画のなかで濃く取りざたされるのはほとんどこの3人だが、施設で働くグレイスも過去に父親から虐待を受けていたことがわかる。

しかし虐待される描写は記憶する限り一切なく、ほぼスタッフと子どもたちのやり取りだけで話が進んでいく。
これがこの映画の良質な個性であり、同時に私のような未経験者が深く立ち入ってはいけないと感じる理由だと思う。
おかしな話、虐待される描写があれば、「ひどい」「許せない」というような感情移入ができたということだ。

なので作品としては楽しめたが、深入りするには足らない私個人の限界を感じた。

ただ1つ、気になることがある

最後に場面転換して、グレイスを含めたスタッフたちが、施設から出たマーカスが幸せに暮らしていたのを見たという話をしているが、あれは事実を話していたのか。
1年の期限付きで働くと言っていた新人スタッフはまだいるし、妊娠しているグレイスのおなかも大きくなっていないので、場面転換前からそんなに時間は経っていないはず。

映画の冒頭で、施設から脱走して数日後に遺体で発見されたウェズリーという大柄な少年の話をしていたが、そのときの雰囲気と似ていて不安になる。

それだけが気になって、せめてマーカスが幸せに暮らしているといいと思ってしまった。

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