『ナチョ・リブレ 覆面の神様』 へらへら観れる小太り熱血漢のお話

『ナチョ・リブレ 覆面の神様』には、幸せを得るヒントが隠されている。好きも手に入れ、お金も手に入れ、充実した生活を送るには、全身全霊をかけるほどの情熱が必要だ。

一生のうち、誰かを守るためにこの身を犠牲にすることが一度でもできるだろうか。
労することなく安定した暮らしができればそれに越したことはないのだが。

ナチョ・リブレ 覆面の神様』の主人公イグナシオ、通称ナチョは熱い男だ。
好きと利益をどちらも手にしれようとするところは強欲だが、孤児たちの幸せのために全身全霊をかける。

修道院で食事係を務めるドジな男ナチョは、孤児たちに美味しい食事をさせたい一心で、幼いころから憧れていたルチャ・リブレの覆面レスラーになる。相棒のスティーブンとともに厳しい特訓を積んだ後、修道院には秘密でリングに上がるナチョ。彼らは連戦連敗を重ねながらも、チャンピオンのラムセスと戦うチャンスを手にする。果たしてナチョは試...

1年に1度は観てしまう私的超名作『ナポレオン・ダイナマイト』の監督ジャレッド・ヘスが手がける作品ということで、期待に胸を膨らませて鑑賞した。
しかも主人公を演じるのは『スクール・オブ・ロック』のティーチャー、ジャック・ブラック。
鳩胸になってしまう。

映画の内容

舞台は恐らくメキシコ。
プロレスのメキシコ版「ルチャ・リブレ」を愛するナチョは、修道院の給仕係として働いている。

しかし、資金不足で修道院の孤児たちには残飯を溶かしたどろどろのまずい飯しか出せず苦しむ毎日。
そこで以前から食材を盗みにくるスティーブンとどういうわけかタッグを組み、賞金を得るためルチャの大会に出場する。

試合には負けるがファイトマネーを獲得し、孤児たちにもおいしい食事を与えることができたナチョ。
でも試合には勝ちたい。
食べるために負けるか、勝つために見捨てるか。

いや、勝ってお金も手に入れよう。
ついでに麗しいシスターにも認められよう。

人生は欲望と情熱で楽しくできる

作品のなかでは、ときに惨めな思いも味わうナチョ。
しかし壁に立ち向かうひたむきな姿は、人生の苦楽を噛みしめて楽しんでいるようにも感じられる。

一方私だって、ぺたりの幸せを考えれば、できることはなんでもしようというスタンスだ。
ぺたりが楽しそうにしていれば、私も楽しい。

しかし自分だけのためと考えると、ウキウキワクワクお値段以上ニトリになれない。
それだけ私が今の境遇に満足しているからなのかもしれないが。

かつてもっとも幸せな国と言われたブータンの国民幸福度は、年々下がっているという。
1日三食あるだけで幸福感をもっていた国民が、いまやスマホを代表とする新興の文明に侵されていることが理由のようだ。

つまり今ある境遇に満足していれば、少しのことでも幸福感が得られるのだろう。

なので現状の私には、ナチョのように情熱的になる必要はないのかもしれない。
しかしそれでは足りないと、また違う自分が腕をつかんで引いてくる。
新しいコスチュームを必要とするときが、いずれ来るのかもしれない。

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