毛虫に襲われた

2020年、初めて毛虫に襲われた年となった。これまで何度か毛虫と接触することがあったが、発疹が出たのは初めてのことだ。もう私は今後桜やツバキのあるところにはうかつに近づけない。

愛犬ぺたりの散歩から帰って洗面所でふと手首を見ると、ポツポツと数個の発疹が出ていた。

私は日に焼けると肌が赤くなり、発疹が出てしまう。
その日は散歩中に陽にあたったことが原因だと、気にせずにいた。

しかし、翌朝起きてまたふと見ると、今度は手首だけでなく肘のあたりにまで広がっている。
発疹のいくつかには水泡ができていて、無性にかゆい。

私はまず薬疹を疑った。
1週間前から飲み始めた薬があったので、それが体に合わなかったのではないかと考えた。

しかし薬を飲むのをやめても収まるどころか、発疹はひどくなる。

次に、ダニの可能性を考えた。

実はぺたりのおなかにもうっすらと赤い斑点が出ていて、私と同じ症状が出ているのではないかと考えたのだ。
ダニがいそうだと思わしき布類をすべて洗濯し、業務用の乾燥機で高温で乾燥させた。

しかし何も変わらない。

当初、発疹が広がった日に皮膚科に行こうとしたのだが、新型コロナの影響で人数制限を設けており、行きつけの病院の予約がまったく取れない。
さらに休診日をはさみ、結局、最初の発疹が出て4日後にようやくかかることができた。

ぺたりは毛虫と出会った。毛虫の毒針に怯え、近寄れない。

思わず聞き返してしまう

私が腕を見せるなり、担当医は即断して言った。

タイトルがネタバレしているので今更感はあるが、なんと毛虫の毒針によるものだというのだ。
担当医の話はこうだ。

この時期、公園で遊ぶ子どもにはよく出る症状らしい。
通常は毛虫が好むサクラやツバキなどの街路樹を自治体が消毒している。
しかし今年は新型コロナウイルスの影響だろうか、未だ消毒がされていない。

思えば葉の緑が目立つので忘れていたが、ぺたりの散歩コースは桜の並木が続いている。
背の低いツバキもある。
腕に症状が出たのも、毒針がついたぺたりを抱えたときに付着したと考えると合点がいく。

処方されたステロイド入りの軟膏を塗ると、たちまちおさまっていった。
今はシミのような跡が残っているだけで、すっかり落ち着いている。

ぺたりはコロコロで毛虫の毒針をとることにした。距離をとって安全に行う。

ちょうどこんな記事が

記事を寝かせていると、ちょうど今日こんな記事が飛び込んできた。
決して書くのがめんどうになったわけではない。

【NHK】8月下旬から9月にかけて再び発生するのだといいます。

よかった、私だけではない、と思うのは不謹慎かもしれないが、苦しかったので共有できる人がいるのは心強い。

しかし恐ろしいのが、この時期だけでなく、8月から9月も注意する必要があるということだ。

毒針がとれて毛虫もスッキリ。もはや毛虫ではなくなった。ぺたりも一安心。

思い出

しかし不思議に思う。

数年前、会社の近くに境内に桜の木がたくさん並ぶスポットがあった。
休憩がてらよく入って、鳥のさえずりや緑を、春には桜を感じて癒されていた。

緑が豊かで水辺もあるので、虫などの生き物も多い。
そう、毛虫も当然よく見かけていたのだ。

いや見かけていたどころではない。
敷地を通るには傘をささないと不安なほど、毛虫が空から降ってくる。
おびただしい量の毛虫や毛虫だったものが、冗談ではなく地面一面に落ちていた。

この時期にも、狂っていたのか私は頻繁にそこを訪れていた。
踏みつぶされた毛虫に同情し、蠢く毛虫には寒気を感じながら非日常に嬉々としていた。

まあこのときは直接触れることはなかったからかもしれない。
こうした経験があったから、今回の症状が毛虫だと知って余計に驚いたのだ。

毛虫は羽化して飛び立つ。毒針をとってくれたお礼にぺたりを空へと飛んで連れていく。

トラウマ

今は改善したものの、もうあの散歩コースを通ることはできない。
地面に一番近いのはぺたりだし、私ももうあんな嫌な思いはしたくない。

そして桜やツバキにも、積極的に近づくことは今後ないだろう。
新型コロナの影響で堂々と花見ができぬご時世だが、規制が緩和されたとしても私は遠巻きにして楽しむ。

あとそうだ。
新型コロナの対策でも掲げられているが、散歩で着た服はなるべく部屋に持ち込まない。
どこに毒針がついているのかわからない。

目に見えない恐怖は人を狂わせる。

トラウマというよりは軽いPTSDに近いが、これは被害に遭った人にしかわからないのだろう。
みなさまくれぐれも、お気をつけください。

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