『イエスタデイ』 なんの説明もないけどジョンが生きててよかった

映画『イエスタデイ』では、ビートルズの名曲たちが映画の本筋よりも目立って輝く。いろいろと設定に説明がないので映画評論家は頭を悩ませそうだが、ジョン・レノンが生きていることは救いになる。主人公ジャックを中心に、ビートルズの名曲がつくりあげたやさしい世界がそこにある。

「この世の常識を自分だけが知る世界に行ってちやほやされたい」

誰もがとまではいかないかもしれないが、多くの人はこんな願望をもったことがあるんじゃないだろうか。
少なくとも私はもっていた。
というか今でも、特に株取引をしていると定期的に妄想に堕ちる。

過去にさかのぼった未来人の私が、テンバガー銘柄をここぞとばかりに買いだめしておく。
来たる時を待てば、あっという間に億万長者のできあがりだ。

株以外だと、画期的なグッズやビジネスモデルが対象になる。
小説などの文学作品は覚えられないし、音楽は才能がないので具現化できない。

映画の話

一方『イエスタデイ』の主人公ジャックは、運がいいことにギターができるし歌もうまい。
ひょんなことからビートルズのいない世界で一人だけ彼らの曲を知る存在となり、次々に名曲をリリースしてスターダムにのし上がっていく。

売れないシンガーソングライターのジャックが音楽で有名になるという夢をあきらめた日、12秒 間、世界規模で謎の大停電が発生──。真っ暗闇の中、交通事故に遭ったジャックが昏睡状態から目を覚ますと…あのビートルズが世の中に存在していない世界に! 彼らを知っているのはジャックひとりだけ!? ジャックがビートルズの曲を歌うとライ...

ところが次第に怖くなる。
知るのが自分だけとはいえ、盗作にはちがいないので良心が咎める。

映画のなかでは、すべてがジャックの都合のいいように動いていて、ジャックをとりまく不思議にはなんの説明もない。

なんでジャックは別の世界に行ったのか。
ジャック以外にビートルズを知る二人に記憶があるのはなぜか。
ハリポタとかオアシスとかシガレットとか、消えたものの共通点はなにか。
消す必要はあったのか。
全部イギリス発祥っぽいけどローリングストーンズは消えてないし、わけわかめ。

まあでも

ジャックが淀みのない人だからこそ成り立つ世界だ。
これが私だったら、とんだヴィランが誕生することになる。
記憶のあるあの二人も、態度を変えるかもしれない。
まあ楽曲提供にとどまるので会う機会はないと思うが。

そんなあまり深く突っ込んじゃいけない設定満載の映画だが、ジョン・レノンが生きていることは大きな救いになる。

思えばこの映画は、結局誰もかれもが、いや世界中の人すべてがハッピーエンドを迎えている。
ただ一人、マネージャーのデブラを除いて。

デブラが悪人だとは思わないが、勧善懲悪な世界なのか。
そう考えると、人のものでいい目を見ようとするなと釘を刺される気もする。

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