オリジナル小説『8月31日の夜に』⑦

2003年8月31日21時17分

 いた。見つけた。開いた卒業アルバムのなかには、確かにA子の名前があった。しかし名前の上の写真に写るのは、ぼくが言うのもおこがましいが地味な少女だった。

 鼻や口元の品の良さは面影があるが、二つに結われた髪の毛先が妙に散り散りにはねていて、身なりに無頓着な子どもらしさを増長させている。そして分厚いレンズの先にある目の小ささが、今知るA子のイメージとかけ離れさせていた。おそらく相当度のきつい眼鏡をかけていたのだろう。とすると、高校ではコンタクトをつけていたのか。写真で見る限り、簡単に矯正できそうな視力ではなさそうだが。

 少し冷静さを取り戻しつつあったが、決心は変わらなかった。アルバムの後ろの方までページをめくっていくと、思った通り全校生徒の当時の連絡先がしっかりと記載されている。もし引っ越してしまっていたなら、誰かに訊いて回るよりほかはない。

 念のため部屋の外に誰もいないことを確かめ、少し震える指先を気にしながら、携帯のプッシュボタンを押していった。

※noteの『#8月31日の夜に』に着想を得た作品です。
※気まぐれに加筆・修正・有料記事化する場合があります。

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