『パラサイト』はものたりない。「静」のまま終わってほしかった

アカデミー賞受賞作品である韓国映画「パラサイト」は私にとって物足りないものだった

公開前後で注目を浴び続けている韓国映画『パラサイト』。
アカデミー賞総なめで、ますますにわかに活気づいている。

私が観に行ったのは受賞の前日。
くそつまんなかった『ドクター・スリープ』の鑑賞時、流れた予告で気になっていた。

韓国映画は、テレビで流れていた『猟奇的な彼女』を横目で観た覚えしかない。
なんのレッテルも貼らないまま、『パラサイト』で韓国映画デビューとなったわけだ。

一方、韓国ドラマは『She was Pretty(彼女はキレイだった)』『ゴー・バック夫婦』『僕の彼女は九尾狐(クミホ)』など、いくつか観ている。
ちなみにこの3作はどれも面白かったので、後日思い出し書きをしたい。

しかし3作とも恋愛メインの話で、『パラサイト』の予告で興味をひかれたのは、「恋愛以外の韓国作品もあるのか」という感想からだったのかもしれない。

以下、ネタバレを含んで感想を書いていく

とりあえずの感想は、「背景が見えずにものたりない。ところどころある緩急は振れ幅が小さくものたりない。心理描写がなくてものたりない。ラストのB級感がすごい。性描写しつこい」となる。

ひとつに、主人公の家族をとりまく背景が見えない

「お前に見透かす力が足りないだけ」と言われればそこまでではあるが、背景が見えないと感情移入しづらい。

父親のギテクと母親が失業しているのはなぜか。
なぜ半地下に住むほど貧しいのか。
長男のギウが「大学受験を4回した」理由は何か。
ギウも長女のギジョンもフリーター?なんなの?
深堀りされない。

石や絵で思わせぶりな伏線を張るくせに、肝心なところが見えてこない。

そして、緩急が弱い

一家が家庭教師やドライバー、家政婦に代わる手際の良さ。
富裕層の家族に不法侵入がバレそうになるシーンの味気無さ。
ラストの期待を裏切らないスプラッタ。

そう、総じて「ものたりない」という感想には「期待を裏切らない」展開が一因となっている。
パク・ソジュンが出てきたのは想定外だった。イケメン。

心理描写については、わがままなのかもしれない

例えば、半地下の家族が、富裕層一家を騙していることに罪悪感のようなものを感じている節が見えていれば、ギテクが臭いと言われたことに対してギウとギジョンがなにかリアクションしていれば、少しは満足していた気がする。

半地下の一家は騙したことを素直に喜び、ギテクが何を言われようが干渉しない。
石でポエムは読むくせに、細かい感情の動きはない。

そういう人種だ、という落ち着かせ方をしてしまう自分がいる。
「韓国人は感情的に生き、他人に干渉することはない」。

しかし本当にそうなのか。
本当にそうであればその裏付けを、違うのであれば少しのヒントが欲しかった。
韓国人に訊ねて意見を聴いてみたい。

私のなかの合格ラインは、「リピートしたいか」で決まる

それでいうと、『パラサイト』は不合格だ。
引き合いに出されている『万引き家族』は、「リピートしたい」。


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でも正直、『万引き家族』とは全く違うだろう。

貧困層の家族の描写と「静」の雰囲気が、彷彿とさせるのはわかる。
しかし、『万引き家族』と似ていると言っている人は、家族にフォーカスしている点に引っ張られ引きずり回されている。
背景は見えない緩急はない心理描写はずぼらなパラサイトは非なるものだ。

とはいうものの、つまらなかったわけではない。
何度も言うが、ものたりなかった。

「韓国人」に貼るレッテルを、アカデミー賞選考員にも貼ることができる。
それは、「アメリカ人は派手好きだから、スプラッタなラストを支持したんだろう」というものだ。

他の批評は詳しく見ていないし、アカデミー賞に明るいわけでもないので、実際のところはわからないし探る気もでない。

最後にひとつ、富裕層の夫婦がいちゃつくシーンは露骨すぎて嫌になる

これも日本人だから思うものなのか。
指定なしの邦画は、俳優に気をつかっているからか、たいてい男がひたすら女の首筋を嗅ぐことで終わる。
恥部のまさぐりは映さない。
そして私は、たいてい映さない方が映像作品では美だと思う。

まあなんやかんや言っているが、アジア初のアカデミー賞受賞はすごい。
マスに受け入れられる作品をつくれるのはすごい。


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